バイクは楽しい。
天気のいい日に、ゆっくりと流すのも気持ちいいいものだが、積極的にアクセルを開けて、エンジンを高回転まで回して走るのも、バイクの醍醐味だ。
しかし、サーキットなどのクローズドコースならともかく、一般の公道で、大型バイクに乗って、目一杯、ぶん回して走れるだろうか？
もちろん、不可能ではないが、やはり、リスクが大きすぎると思う。
はたして、バイクのエンジン排気量は、大きければいいのだろうか？
ハーレーの場合
ハーレーは、大排気量ではあるが、けっして、高回転まで回るエンジンではない。
回しても、せいぜい4,000回転〜5,000回転だろう。
それ以上、回したところで、トルクやパワーは、すでに頭打ちなので、あまり意味がない。
実際には、2,500回転〜4,000回転くらいしか回さない。
もっといえば、たいていは、2,000回転〜3,000回転くらいのものだし、ハーレーの場合、そのくらいの低回転域が、気持ちよかったりする。
そんなハーレーでも、ビッグツインモデルはトルクがあるので、直線なら、リアタイヤで地面を蹴飛ばしながら、けっこう速く走ることができる。
デチューンされた、国内仕様の現行モデルであれば、給排気系のカスタムと、インジェクションチューニング程度まで行なえば、どこからでも、そこそこの加速をしてくれる。
さらに、カムまで交換すれば、さらに、高回転まで伸びるようになるらしい。
しかし、そんなハイパワーは、やはり、公道で使い切れるものではない。
たしかに、大排気量なら、高速道路などでは余裕があり、ラクではあるが、じつは、高速道路をハイスピードで、ずっと巡航していても、あまり楽しくない。（どちらかというと、私にとっては、ツライ。）
そして、カウルや風防がないモデルでは、120km/h以上の巡航は、けっこうツライものがある。
結局、どれだけトルクやパワーがあったところで、日本の公道では、宝の持ち腐れになる可能性が高いのだ。
実際には、60〜80km/hくらいの速度で、景色を眺めながら、鼻歌交じりで、トコトコと走るのが、ハーレーには、いちばん似合っている。
ハーレー以外の場合
では、ハーレー以外の、スポーツバイクの場合は、どうだろうか？
私が試乗したことがある、S 1000 RR や S 1000 R、Z900 RS など、高回転まで気持ちよく回る4気筒のエンジンでも、公道でレッド・ゾーンまで回せるのは、ほんのわずかだ。
公道で、それ以上、回せば、すぐに危険な速度域に達してしまう。
公道では、どこから、なにが飛び出してくるか分からないし、対向車もいるので、そんな速度域で走るのは、かなりリスキーだ。
そうなると、当然、公道では、パワー全開で走る機会は少なくなり、バイクの持つポテンシャルを、フルに発揮させる機会も、残念ながら少ない。
おわりに
私は、大型バイクにしか乗ったことがない。
とりあえず、ハーレーに乗ろうと思って、免許を取ったので、必然的に、大型自動二輪免許を取った。
それ以前は、普通自動二輪免許（中免）を持っていたわけではないので、400cc以下のバイクに乗った経験はない。
しかし、じつは、パワーをもて余したり、押さえたりして走らなければいけない、大型バイクよりも、多少は非力であっても、目一杯、高回転まで、ぶん回して走ることができるバイクのほうが、ワインディングなどを走ったときには、楽しいのではないか？
それは、車でも同じかもしれない。
若い頃に乗っていた、マツダのNA・テンロク（1.6L）のロードスターが、非力だけど楽しかったのを、今でも覚えている。（いま気がついたのだが、いま乗っているハーレーのほうが排気量が大きいなんて…）
NA・テンロクのロードスターは、その後に乗った、２L・280馬力のボクサーターボエンジンを積んだスバル車よりも、回して走る喜びが大きく、遅くても楽しかった。
そして、もちろん、280馬力を公道で発揮する機会は、それほど多くはなかった。（しかも、190km/h弱でリミッターがかかっていた）
話をバイクに戻すと、低排気量のバイクは、ロングツーリングは、大変かもしれないし、一緒に走るバイクが、リッタークラスの大型バイクだったら、着いていくのが大変かもしれない。
しかし、大切なのは、絶対的な速さではなく、相対的な楽しさや、そして、バイクを操る楽しみなのだと思う。
決して、S 1000 RR や パニガーレＶ4 に乗って、300km/h出したいわけではない。
そんなことを考えていたら、2020年に登場する予定の、Husqvarna（ハスクバーナ）の250ccのピレン・シリーズが気になって仕方がない。
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