ハーレーを買ったままの状態で、まったくイジらずに乗る人もいるかもしれないが、それでも多少の調整は必要になる。
また、ハーレーは振動(鼓動)が大きいので、各種ボルトなどの増し締めも必要だ。
それらも含め、すべてディーラーやショップで行うという人もいるとは思うが、自分でできることは、自分でやりたいという人もいる。
また、私のように、ちょっとしたことで、ショップやディーラーへ行くのが面倒くさいという人や、納得の行くまで、微調整したいという場合もある。
最近は、新車でハーレーを買っても、一切、工具が付属されないので、必要な工具は、自分で揃える必要がある。
今回は、ハーレーをイジるときに、最低限必要になる工具について。
In(インチ)サイズ
まず、ハーレーをイジる場合、工具のサイズは、「mm(ミリ)」ではなく、「In(インチ)」だ。
「mm(ミリ)」が単位の工具なら持っている人も多いかもしれにが、ハーレーをイジるためには、単位が「In(インチ)」の工具を揃える必要がある。
「In(インチ)」工具というと、特殊なイメージで、価格も高そうだが、今はAmazonなど、ネットを利用すれば、安く揃えることも可能だ。
また、○/○という、慣れるまでは、分かりづらいサイズ展開だが、こればかりは慣れるしかない。
ちなみに、「1インチ=25.4ミリ」だ。
セットで買うべき
もちろん、有名ブランドの工具のほうが、いいとは思うのだが、なにしろ価格が高い。
価格が高いから、セットでなく単品で買おうとすると、さらに割高になる。
また、どのサイズが必要なのかは、作業をやり始めてから分かる場合が多い。
そのため、その都度、注文していたら、作業が進まない。
そして、あとになって、手持ちのサイズだけでは用が足りず、セットで買い直したりすると、一部のサイズだけダブってしまい、ムダな買い物となってしまう。
工具が足りなくて、作業が止まるくらいなら、はじめからセットで揃えておいたほうがいい。
価格がネックなら、有名ブランドの高価な工具ではなく、価格と信頼性のバランスのとれた割安な工具を選ぶのもありだと思う。
私はよく、価格が手頃な、藤原産業の「SK11」の工具を利用している。
ソケットとL型
工具には、主に、ソケットをラチェットハンドルに取り付けて回す「ソケットタイプ」と、L型のレンチで回す「L型タイプ」がある。
L型タイプは、単体で使用できるが、「ソケットタイプ」の場合は、「ラチェットハンドル」が必要になる。
しかし、「ソケットタイプ」のほうが、片手で素早く扱えて、作業効率がいい。
どちらで揃えてもいいのだが、外側が「六角形」や「星型」になっているボルトの場合には、「ソケットタイプ」を使うしかない。
そのため、どうせなら、すべて「ソケットタイプ」で揃えてもいいと思う。
ちなみに、「ソケット」と「ラチェットハンドル」などの、ソケットを回すハンドル類とあわせて、「ソケットレンチ」と呼ぶ。
差込角
「ソケット」を「ラチェットハンドル」にセットして利用するときは、「差込角」が合っていなくては、使用することができない。
差込角
「差込角」の変換アダプターもあるので、そのようなものを使えば、「差込角」が異なっても使用できる場合もある。
また、同じ「差込角」であれば、たとえメーカーが異なっても、互換性があるので使用できる。
そのため、ラチェットハンドルは、気に入ったものを選びたい。
車やバイクなどの細かな整備には、主に9.5mm(3/8″)の「差込角」が使用されるので、基本的は、 9.5mm(3/8″)で揃えれば大丈夫だ。
ラチェットハンドル
「ラチェットハンドル」には、いろろな形状や長さのものがあるが、個人的には、コンパクトなもの(スタビータイプ)が気に入っている。
足回りなどをイジるわけではないので、コンパクトなスタビータイプでも十分に回せる。
また、コンパクトサイズのほうが、持ち運びに適している。
「ラチェットハンドル」には、「180度首振り(フレックス)タイプ」と「ストレートタイプ」とがある。
「180度首振り(フレックス)タイプ」のほうが、狭い場所の作業に対応できる。
【スタンダード・フレックスタイプ(差込角9.5mm)】
【スタビー・フレックスタイプ(差込角9.5mm)】
【コンパクトスタビータイプ(差込角9.5mm)】
手が届かない、奥のほうのボルトでソケットを使うときには、エクステンションバーがあると便利だ。
【エクステンションバー(差込角9.5mm)】
六角
多くの場合は、「六角形」のボルトやナットが使われる。
そのため、まずは、それらを回すための工具が必要になる。
そして、ハーレーの場合、この「六角形」のサイズが、「mm(ミリ)」ではなく、「In(インチ)」の工具を選ぶことになる。
また、外側が「六角形」になっているボルトと、ボルトの中に「六角形」がある「六角穴付きボルト」とがあり、必要な工具が異なる。(オス・メスの関係)
外側が「六角形」になっているボルト
【ソケット(差込角9.5mm)】
ボルトのネジが長い場合、ディープソケットでないと回せない場合がある。
【ディープソケット(差込角9.5mm)】
ボルトの中に「六角形」がある「六角穴付きボルト」
【六角ソケット(差込角9.5mm)】
【六角レンチ(L型)】
単に「ソケット」という場合は、通常、「六角形」のボルト・ナットを回すためのものを指す。
そして、これ(ソケット)だけなら、オス・メス2種類の工具セットを揃えればいいのだが、ハーレーには、「六角形」ではなく、「星型」のトルクスというボルトを回す工具が必要になる。
トルクス
ハーレーには、「六角形」ではなく、「星型」のトルクスというボルトを回す工具が必要になる。
T型トルクス
「星型」がボルト中にあるものを「T型トルクス」、ボルト自体が「星型」のものを「E型トルクス」という。(オス・メスの関係)
ハーレーでは、主に「T型トルクス」が使われているようだが、もしかしたら、内部などには「E型トルクス」も使われているのかもしれない。(内部の詳しいことはわからない。)
とりあえずは、「T型トルクス」だけを揃えれば、大丈夫だと思う。
「T型トルクス」には、ねじ側の中心部に、「いじり止め」と呼ばれる突起のあるタイプと、突起のないタイプとがある。
「T型トルクス」のサイズは、「T-1」〜「T-100」という感じで表され、ハーレーでは、「T-20番台」〜「T-40番台」がよく使われるような気がする。
【T型トルクスソケット(差込角9.5mm)】
【T型トルクスレンチ(L型)】
おわりに
基本的に、サイズが「ミリ」ではなく、「インチ」になるだけで、工具としては一般的なものだが、「T型トルクス」は、日本では、それほど一般的ではないかもしれない。
しかし、ハーレーなどの輸入車では、「T型トルクス」がよく使われている。
社外パーツなどは、「六角穴付きボルト」が多いので、例えば、純正部品を外すときは、「T型トルクス」用の工具が必要で、社外パーツを取り付けるときは、「六角穴付きボルト」用の工具が必要なんてこともある。
そのため、一通りの工具は、揃えておかないと、作業が止まる可能性がある。
なかには、いちども使わないサイズも出てくるかもしれないが、一通りの工具を揃えておくと、ちょっとした微調整や、増し締め、簡単なパーツの脱着などが、いつでも自分で出来るようになる。
はじめは、多少、お金がかかるかもしれないが、長くハーレーに乗る予定なら、工具は揃えておきたい。
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