ハーレーといえば、あの「ドコドコ感」。
最近では、純正マフラーのハーレーだと、エンジンをかけた週間に「あれ?」ってなる。
「ドコドコ」ではなく、「ヒュルヒュル」いっている。
日本仕様のノーマル状態のハーレーは、ハーレーらしさが封印(デチューン)されてしまっているのだ。
今回は、ハーレーの「ドコドコ感」や「三拍子」について。
インジェクションチューニング(EFIチューニング)
最近の新車のハーレーの、がっかり感を解消するために、給排気系(マフラーやエアクリーナー)を交換したくなる。
すると、燃調が狂ってしまう。
もともとデチューンされていて、さらに給排気系の交換によって狂ってしまった燃調を適正化して、本来のポテンシャルを発揮できるようにするためには、「インジェクションチューニング(EFIチューニング)」が必要になる。
今のハーレーは、キャブレター仕様ではなく、インジェクション仕様なので、乗り手がアナログで調整することが難しくなった。
それまでアナログで行っていた、燃料の供給量や点火のタイミングの調整などは、すべてデジタルで(パソコンに繋いで)行うようになった。
パソコンを使ってECM(Electric Control Module)に記録されている「マップ」と呼ばれる、ガソリン噴射量や、点火時期などのデータを書き換えるのだが、当然、これにはお金がかかる。
「デバイスの料金」と「チューニングの工賃」は、使用するデバイスや、ショップによって変わってくるが、だいたい10万〜15万は必要になるだろう。
もしかすると、マフラーやエアクリーナーの価格よりも高い金額かもしれない。
マフラーやエアクリーナーの交換費用に、インジェクションチューニング費用も含めると、トータルで20万〜30万円の出費となる。
それでやっと、ハーレーっぽい音になる。
20万〜30万円というのは、もう少し出せば、125〜250ccクラスのバイクなら、買えてしまう金額だ。
「見た目がハーレーならそれでいい」という人は、そのような出費は不要だけど、たいていの人が求めるハーレーには、音やドコドコ感も含まれているのではないだろうか。
アイドリング時の三拍子
ただでさえ高いハーレー(2024年モデルの中に200万円以下のモデルはない)を買って、さらに給排気系カスタムに20万〜30万円をかけて、ようやく思い描いていたハーレーの音に近くなる。
しかし、これでもまだ不十分だ。
最近のハーレーでは、アイドリング時の、あの不規則で心地よいリズム、いわゆる「三拍子」が感じられない。
キャブレターからインジェクションに変わってしまったことが大きな要因だが、それならば、「インジェクションチューニング(EFIチューニング)」で、どうにかすれば良さそうだ。
アイドリング時の回転数は、インジェクションチューニング(EFIチューニング)で、設定を変更することができる。
エンストしない範囲で、ギリギリまでアイドリング時の回転数を下げたいところだが、それをすると、エンジンや電気系統のバッテリーに悪影響とダメージを与えてしまう。
アイドリング時の回転数を下げすぎると、エンジン内部全体に正常にエンジンオイルが回りづらくなってしまい、油圧が下がって、オーバーヒートにつながる。
そのような理由もあり、ディーラー系のショップでは、なかなか回転数を下げてくれないが、探せばやってくれるショップはある。
といっても、おそらく、下げるとしても900〜800回転くらいで、目指す回転数の2倍くらいだろう。
ハーレーといえばキャブ車?
そもそも、いまのインジェクションモデルに、心地良い「三拍子」を期待するべきではないのかもしれない。
歴代ハーレーのなかで、三拍子が出しやすいのは、エボリューションモデルだといわれている。
やはり、あの独特な「三拍子」を期待するなら、キャブ車を探すほうがいいのかもしれない。
人気なのは、やはりエボリューション(後期)モデルだが、状態のいい個体を探すのも、なかなか難しそうだ。
ハーレーのすべてのニューモデルが、インジェクション仕様になったのは2007年で、歴代エンジンは以下のとおり。
・1936年〜1947年 ナックルヘッド
・1948年〜1965年 パンヘッド
・1966年〜1985年 ショベルヘッド
・1984年〜1999年 エボリューション
・1999年〜2017年 ツインカム
・2017年〜 ミルウォーキーエイト
・2021年〜 レボリューションマックス
ということで、キャブレター仕様の旧車を所有している人は、大切に乗ってほしい。
そして、「ドコドコ感」や「三拍子」をイメージして、新車のハーレーが欲しいと思っている人は、ちょっと注意が必要だ。
おそらく、思い描くハーレーと、インジェクション仕様になった2007年以降のハーレーは、良くも悪くも別物だと思う。
お金をかければ、それなりに近づけることもできるが、最近の新車の場合、購入価格とカスタム費用をあわせると、300万円は軽く超えてしまうだろう。
そして、そこまでかけても、残念ながら、納得のいく三拍子ドコドコサウンドにならないかもしれないということは、知っておいたほうがいいと思う。
【意外な比較⁉】