2020年11月末、私のハーレー(FLHC)が、突然、旅立って行った。
といっても、事故って廃車になったなどという話ではない。
ことの発端は、その1週間前。
BMWやドゥカティのディーラーで試乗を終えて帰るとき、久しぶりにハーレーディーラーにも立ち寄ってみようと思った。
けっこう久しぶりのハーレーディーラーだったのだが、店内に入って早々、かなり驚いてしまった。
それは…
ハーレーの在庫がない⁉
久しぶりにハーレーディーラーへ行ってみたのだが、とてもビックリした。
店内に売り物の新車のハーレーが、びっくりするほどに少なかったのだ。
店内にあった販売可能な新車のハーレーといえば、400万円級のいちばん大きなツーリングファミリーばかり。
日本で売れ筋のスポーツスターやソフテイルファミリーの売り物は、1台もなかった。
最近、コロナの影響でハーレーが日本に入って来ないとは聞いていたが、まさか、ここまでとは思っていなかった。
そして、これまで見たこともないくらい、スカスカの店内を見て、思わず、スタッフに声をかけた。
「このスカスカの店内に、私のFLHCを飾ってくれない!つまり、委託販売ということで…」
新車販売を売りたい⁉
ハーレーディーラーは、ハーレージャパンから割当られた在庫が、強制的に送り込まれてくることがあるらしく、通常であれば、新車を売るのに忙しい。
ハーレーは、毎年、新しいモデルが発売されるので、ニューモデルが入荷するころまでには、旧モデルを売ってしまって、大幅なキャンペーンやディスカウントをしなくてすむニューモデルを売りたいというのが、メーカーやディーラー側の正直な気持ちだろう。
つまり、旧モデルの売れ残り、ニューモデル、売れ残り、ニューモデル…と、常に新車を販売していく必要があるため、中古の委託販売などをしている暇はない。
ディーラーとしては、利益率の高い新車やカスタムパーツ中心に販売したいという気持ちは、私にもよく理解できる。
そのため、多くの新車ディーラーでは、基本的に委託販売を引き受けたがらない。
だが、いまは、売れる玉(新車)がない。
であれば、私のFLHCを展示して委託販売したところで、商売の邪魔にはなるまい。
しかも、売り物がなければ売上も立たないが、たとえ委託販売でも、売れればディーラーにも委託手数料が入る。
ついでにカスタムパーツも売れるかもしれない。
また、ソフテイルを買いたくても買えないお客にとっても、もしも私のFLHCが気に入れば購入することができる。
つまり、この提案は、うまくいけば、WIN-WIN-WIN なのだ。
委託販売
委託販売で、私のハーレー(FLHC)を展示してほしいと話をした翌週の土曜日、さっそくハーレーをディーラーへ持っていった。
いちど、ディーラーに着いたのだが、ふと、
「もしかしたら、これが最後になるかもいしれない…」
と、なんとも寂しい気持ちになり、もうひと回り乗ってから、ハーレーを引き渡した。
そして、翌日の日曜日、その日は、朝からブルターレのニュータイヤの皮むきをしていたのだが、その途中、ディーラーから連絡があった。
「希望の価格で売れました!」
「えっ…」
これだけ玉がない状態では、年内には売れるだろうとは思ってはいたが、こんなにもあっさり売れてしまうとは思わなかった。
委託手数料は1割。
少し高い気もするが、あまり欲をかいてもしかたない。
さきほども書いたとおり、みながそれぞ少しずつ得した気分になれる WIN-WIN-WIN でちょうどいい。
売りたいとは思っていたが…
バイクの免許を取る前、バイクについて何も知らなかったときに買ったハーレー(FLHC)だったが、その後、いろいろなバイクに乗ってみて、ハーレーがいまの私が乗りたいバイクではないことが分かってきた。
もっと歳をとって、それほどスピードも出さなくなったら、ハーレーのような、のんびり走れるバイクに乗るのもいいかもしれないが、いまは退屈に感じてしまう。
バイクの特権でもある、すり抜けがしづらいのもツラい。
ブルターレを買って以降、ハーレーは、バッテリーがあがらないようにと、時々、乗るだけだった。
盆栽にする余裕もないので、できれば売りたいと思っていたのだが、買取価格がかなり安いかったので、売るに売れない状態だった。
⇒ 新車のハーレー(FLHC)に半年間乗った下取りの金額は⁉【衝撃の値落ち率】
2020年はコロナの影響で、いろいろ大変な状況かもしれないが、個人的には、今回のことも含め、なにかとプラスのことのほうが多い。(いや、マイナスのことは何もないかも…)
ハーレーの新車が、これまでのように日本に入って来ていれば、私のFLHCも、今回の価格では売れなかったと思う。
カスタム状態での売却
一般的な市場の相場では、新車で買って、1年もしないうちに半額以下だ。
本当に長く乗るつもりがなければ、カスタムなんてしないほうがいいのではないかと思う。
基本的に、ハーレーに関するものは、なんでも値段が高い。
そして、どんなにお金をかけてカスタムしたところで、売値が半額以下になるだけのみならず、買取時の基本はノーマル戻しだ。
カスタムしても、基本、プラスにはならない。
それどころか、ノーマルに戻すのにもお金がかかるかもしれない。
しかし、今回は、カスタムした状態のまま、ノーマルパーツもすべて付属させるという条件で委託販売をお願いした。(カスタムパーツだけを外して、ヤフオクなどで販売するのも面倒くさい)
今回、私のハーレーを買った人も、ノーマル状態の中古を買うよりも、かなり得だと思う。
もちろん、気に入らない部分は変えればいいし、ノーマルに戻したければ戻せばいい。
個人的には、後回しになっていたハンドル周り(ハンドル、グリップ、ブレーキ・クラッチレバー、バックミラーなど)をカスタムするだけで、そこそこの見た目になると思う。
そして、エンジンは絶好調だ。
およそ1万km弱走ったが、1万kmなど、ハーレーにとっては、まだまだ慣らし運転のうちだろう。
新車で購入して以来、およそ1年半、法定点検やオイル交換なども、きちんと行ってきたので、状態は悪くないと思う。
オイル添加剤も入れていたし、ガソリンもちゃんとハイオクを入れていた。
かなり大切にしてきたつもりだ。
買った人が満足してくれるといいのだが…
そして、委託手数料で、ハーレーディーラーのスタッフ一人分くらいの給料にはなったはずだ。
私としても、通常の買取や下取り価格よりも、かなり高く売ることができたので、淋しい気持ちはさておき、取引には満足している。
ということで、今回は、WIN-WIN-WIN の取り引きができたのではないかと思う。
おわりに
なつかしい納車時の写真
ボバースタイルが好きだと気づいた
最後にブルターレと記念撮影
まだ免許のない状態で購入して、およそ1年半、走行距離1万km弱と短い間ではあったが、ハーレーには、とても感謝している。
バイクに乗る楽しさを教えてくれたこと。
バイクを通してこれまでとは違う、新しい交友関係が築けたこと。
そして何より、ただただ働いて、世間の常識に合わせながら、なんとなく無難に生きることが人生ではないということを、ハーレーは教えてくれた。
もしも、少しでもハーレーに興味関心があるのなら、レンタルでも試乗でもいいので、乗ってみるといい。
また、私のように、なんか違うかも…と思ったら、違うタイプのバイクに乗ってみるのもいい。
とにかく、なんでもいいので、初めの一歩を踏み出してみることが大切だ。
その先がどうなるかなんて、踏み出してみないとわからない。
ただ、ひとつ言えることは、どのような展開になろうとも、何の行動もしない人生よりも、新たな一歩を踏み出したほうが、有意義な人生になることは明らかだ。
小さな一歩から、思いもしない展開が待っている可能性も高い。
ということで、わずか1年半という短い時間ではあったが、私のハーレーライフは、あっけなく幕を閉じることになった。
これからは、ハーレー関係の記事は少なくなるとは思うが、引き続きお付き合い願えれば幸いです。
そして、新年1月下旬から2月初旬には、新たな愛車が…
コメント
なんだか寂しいけど、ハーレーは今に繋がってる訳だし。買って本当に良かったと思う。単なる移動手段ではないバイクは人生を豊かにしてくれるけどそれもこれもこのホームページがあってこそ。次の愛車でツー行こう。
トムクルさん
ほんと寂しいですが、「売るなら今しかない!」というタイミンでしたので、高値で売れてよかったと思います。
少々、高く付きましたが、おそらく、ハーレーを買っていなかったら、まだ、二輪の免許すら持っていなかったと思いますので、思いきって買ってみてよかったと思います。
そして、これからの新たな展開が楽しみです。
今後とも、どうぞ宜しくお願いします!