40台半ばという年齢で、ふと、ハーレーになら乗れそうだと思って、大型自動二輪免許を取り、ハーレーに乗り始めた。
元号が平成から令和に変わった、2019年の5月のことだ。
まずは、ディーラーにハーレーを見に行き、FX系とFL系の違いもわからないまま購入を決意し、教習所に通うための手続きをした。
いま思えば、免許を取ることに、なんの迷いもなかったことが不思議だ。
そして、まだ実際の教習すら始まっていないというのに、ハーレー(FLHC・2018)を契約してしまった。
もちろん、免許がないので試乗なんてできるはずもない。
そして、バイクというものに縁のなかった私には、それが最良の選択かどうかなど、分かるはずなどなかった。
残念ながら、実際には、FL系ではなく、FX系が好みであることは、買ったあとになってわかった。
ただ、そのときは、
・2018年モデルのSOFTAIL限定!300,000円分のパーツ&アクセサリーサポート
・Passport to Freedom 2019(100,000円の免許費用サポート)
という、2つ合わせて40万円というキャンペーンにつられてしまい、購入可能だった2018年モデルのFLHCを買うことになった。
とはいえ、私がそのハーレーを気に入り、ずっとハーレーライフが楽しめる人間だったなら、実質40万円の値引きというキャンペーンを利用することは、決して悪い選択ではなかったと思う。
しかし・・・
ハーレーに乗ってみたのだが…
2ヶ月ほど教習所に通い、苦労の末に、なんとか免許が取れ、いざ、ハーレーに乗り始めてみると、正直に言って、それほど楽しくなかったような気がする。
はじめのうちは、ハーレー重さ(320Kg)から、楽しさよりも怖さのほうが強かったということも大きい。
バイクの免許取り立ての初心者なので、怖くて当然だったかもしれない。
教習車を倒すことには慣れていたが、自分のハーレーは倒したくないという気持ちが強くて、初めて自分のハーレーに乗ったときは、公道に出るだけでも、かなりの勇気が必要だった。
そして、納車当日、自宅に着いてから、めでたく1回目の立ちゴケも経験した(笑)
ただ、立ちゴケしたところで、たいして被害がないことも分かった。
ハーレーのカスタマイズ
ハーレーに乗りはじめて、徐々に怖さもなくなっていったのだが、同時に、日本仕様のハーレーには、まったく迫力がないことが気になりだした。
基本的にフルノーマルのハーレーに乗っている人は、あまり見かけない。
そして、すでにカスタムをしている、自分以外のハーレーと比較してしまうと、自分のノーマルのハーレーは、情けないかぎりだ。
幸い、はじめに書いたとおり、
300,000円分のパーツ&アクセサリーサポート
が利用できたので、給排気関係を中心にカスタムをしながら、ハーレーライフを送っていったのだが、皮肉なことに、カスタマイズしたり、乗れるようになればなるほど、つまらなさや物足りなさを感じるようになっていった。
ハーレーカスタムの中心は、音と見てくれだ。
いくらお金をかけてカスタマイズしても、決して峠を速く走れるようにはならない。
そもそもが、そういうバイクではないのだ。
また、ハーレーとだけつるんで、おとなしく走っていればよかったものを、ハーレー以外のSSやネイキッドと一緒に走ってしまったことも、つまらなさや物足りなさを感じてしまった、大きな要因だったと思う。
ハーレーは遅い⁉
ハーレーはトルクだけは、もの凄いものがあるのだが、バイクとして、「速い」か「遅い」かといえば、「遅い」と言わざる負えない。
初心者の頃は、技術的に下手くそだということもあり、ハーレー以外のバイクにたくさん抜かれたし、峠などでは、自ら道を譲ったりもした。
抜かれ方も、すーっと簡単に抜かれてしまう。(いまは逆にブルターレで抜いているが)
はっきり言って勝負にならない。
峠では、プリウスのほうが速かったこともあるくらいだ。
はっきり言って、かなり屈辱的だ。
しかし、ハーレーで無理をしたところで、ネイキッドやSS、下手をしたら、車にも敵わないことが、だんだんと分かってきた。
また、いくらお金をかけてチューニングしたところで、ハーレーはハーレーだということも分かり、無駄なお金をかける気にもならなくなった。(カム交換とかしなくてよかった)
トルクや馬力や上がったところで、直線だけを走るわけではないので、たいして意味がない。
そして、車でもバイクでも、いちばんの正義は、やはり「軽さ」だということを思い知る。
排気量が1,700cc以上もあっても、車重が320Kgもあったら、出だしからして遅いし、そもそもVツインエンジンは、高回転まで回わるエンジンではない。
その後、購入した排気量が半分以下(798cc)のブルターレ800のほうが、圧倒的に速くて楽しい。
というか、速さの質がまるで違う。
ネイキッドは楽しい!
ハーレーからブルターレ(ネイキッド)に乗り換えてみると、楽しさがまるで違う。
軽いし、速いし、止まるし、曲がる。
すり抜けもしやすいので、渋滞にハマることも少ない。
バイクに乗っていて、渋滞にハマって、車の後ろに並んでいるほど、バカバカしいことはない。
どうせ渋滞にハマるなら、車のほうがまだマシだ。
車なら車内でいろいろできることもある。
そのため、天気の良い観光地にハーレーで行くのは危険だ。
すり抜けができるハーレーならいいが、できないのなら混雑が予想される観光地には、ハーレーでは行かないほうが身のためだ。
ハーレーが楽しめる人は?
人によって好みのバイクは違うと思う。
最近、気がついたのだが、そもそもスポーツカーやマニュアル車が好きな人は、ハーレーよりもSSやネイキッドを選んだほうがいいのではないかと思う。
もちろん、複数所有の中の1台なら、ハーレーもいいと思うのだが、ハーレー1台しかないと、ちょっとつらいと思う。
逆に、スポーツカーやマニュアル車、そして、公道でスピードを出したりすり抜けすことに抵抗がある人は、ハーレーなどのクルーザータイプのバイクでもいいかもしれない。
ただし、高速道路に乗ってどこかへまで行って何かを食べたら、また高速道路に乗って帰ってきたり、どこかに集まってハーレー眺めながら、カスタム自慢をしたりというスタイルが多くなるかもしれない。
世界的に、ハーレーが好きな人も多いので、好きな人は楽しんでほしいと思うが、私にとって、最新のハーレーは、「重い」「遅い」「うるさい」バイクというのが、実際に1年半所有して、乗ってみた感想だ。
昔の3拍子のキャブ車とかなら、違った味わいものあるのだろうが…
いまでは、キャブ車のハーレーだけが好きな人の気持ちが、なんとなくわかるような気がする。
おわりに
もしも、今度、アメリカンに乗ることがあるとすれば、トライアンフのボバーなどを選ぶと思う。
あの270度クランクのパラツインエンジンは、走っていてとても心地いい。
ただ、しばらくは、ネイキットやSSのほうが、乗っていて楽しいと思うので、まったり走る系のバイクは買わないと思う。
いま考えれば、新車でハーレーを買った値段で、パニガーレV2(959パニガーレ)とかが買えたと思うが、おそらく免許取り立ての初心者のときに、それらに乗る勇気はなかっただろう。
ハーレーだから乗れたのだと思う。
そう考えると、バイクの世界に誘ってくれたハーレーには、感謝するべきかもしれない。
ハーレーに乗ろうか検討中の人は、自分がどういうタイプのバイク乗りなのかを、よく考えてから購入したほうがいいと思う。
ワインディングをスイスイ走りたいのか、直線道路をまったり走りたいのかで、乗って楽しいバイクは全然違う。
自分のタイプに合わないバイクを買ってしまうと、バイクに乗ることを楽しめなくなってしまう。
とはいえ私も、はじめは、まったり、のんびりとハーレーで走れたらいいと思っていたのだが…
そういう意味では、とりあえずハーレーから乗ってみるというのも、場合によっては、無駄になってしまうかもしれないけど、それもありなのかもしれない。
なんにしろ、乗ってみないと分からないのだから、とりあえず、「これに乗りたい!」というバイクに乗ってみるしかない。
その結果、「これじゃなかった!」と気がついたら、乗り換えればいいのだから…
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