かつてのハーレーは、キャブレターによる燃料供給システムだった。
そんなハーレーも、時代の流れとともに、2007年以降からは、インジェクションが採用され、現在に至っている。
ハーレーがインジェクションになったことで、よく近年の現行車は、「インジェクションチューニング(チューニング)」をしたほうがいい、といわれるが、インジェクションチューニングは、本当に必要なのだろうか?
今回は、「インジェクションチューニング」について。
キャブレターとインジェクションの違い
インジェクションとは、正確には「フューエルインジェクションシステム」といい、燃料噴射装置のことだ。
そして、キャブレターもインジェクションも、エンジンにガソリンを供給するという役割は同じだ。
両者の大きな違いとしては、
キャブレターはアナログだが、インジェクションでは、様々なセンサーで収集したデータをコンピューターが解析して、最適な量のガソリンを噴射できることだ。
チューニングに使うデバイスによっては、液晶が付属していたり、スマホとBluetoothで接続したりして、モニタリングすることも可能だ。
インジェクションチューニング
インジェクションは、パソコンを使ってECM(Electric Control Module)に記録されている「マップ」と呼ばれる、ガソリン噴射量や、点火時期などのデータを書き換えることができる。
この作業のことを「インジェクションチューニング(チューニング)」という。
一般的には、マフラーやエアクリーナーなどを交換したときに「チューニング」を行う人が多いが、実際には、ノーマルの状態で「チューニング」を行っても、かなり効果があるようだ。
ノーマルでも必要なわけ
ハーレーの現行のインジェクションモデルは、日本国内の規制により、ガソリン(混合気)が薄く設定されている。
そのため、ノーマルでも「インジェクションチューニング」をすることで、エンジンにも優しく、そして、本来のポテンシャルを発揮することができるようになる。
日本国内の規制とは、主に、
・騒音規制
・加速騒音規制
などのことだ。
国内メーカーのバイクであれば、最初からそれらの規制も計算に入れて開発しているだろうが、ハーレーの場合は、輸入車なので、当然のことながら、日本の規制なんかに合わせて開発していない。
セッティングで車両のガソリン噴射量を少なく、すなわちガソリン(混合気)を薄くすることにより、燃焼における爆発音などを小さくして、日本の騒音規制などのテストをクリアしていると考えられる。
そのため、日本仕様のハーレーは、本来のポテンシャルを発揮することができない。
マフラー・エアクリーナー交換
日本仕様の、もともとガソリンが薄い状況で、さらに、抜けのいいマフラーや、ハイフロータイプのエアクリーナーに交換することで、排気効率と吸気効率が向上し、さらに輪をかけて、ガソリンが薄くなってしまう。
すると、よりエンジンに負荷がかかることになり、ハーレー自体に、大きな悪影響をもたらすことになりかねない。
インジェクションの場合は、コンピューターの指示通りにしか、燃料を噴射することができないからだ。
マフラーやエアクリーナーを変えても、ECMに記録されている「マップ」を書き換えなければ、当然ながら、ノーマルのマフラーやエアクリーナーのときのままの指示しかできない。
そこで、「マップ」を書き換える「インジェクションチューニング」が必要になるというわけだ。
おわりに
「インジェクションチューニング」を行う依頼する場合、「マップ」の書き換えに使う「フラッシュチューナー」などの「デバイス料金」と、実際に「マップ」の書き換えを行ってもらう「チューニング工賃」がセットで必要になるため、それなりの出費を覚悟しなければならない。
「デバイスの料金」と「チューニングの工賃」は、使用するデバイスや、どこでチューニングを行うかによって変わってくるが、だいたい10万〜15万は必要になる。
これは、マフラーやエアクリーナーの価格よりも高い金額かもしれない。
そして、マフラーやエアクリーナーを交換する場合は、その費用とあわせて、チューニング費用も必要なので、トータルで20万〜30万円の出費となる。
20万〜30万円という金額は、決して安い金額ではないが、それによって、ハーレーのコンディションを整え、望むフィーリングが得られるのであれば、やはりやりたくなってしまう。
いずれにしても、ハーレーは、金食い虫だ。
あとあと後悔しないために、よく検討して、どこで「インジェクションチューニング」を行うのかも、よく検討したほうがいい。
遠方の有名ショップへ持ち込むのもいいが、アフターメンテナンスのことも考えると、なるべく近場がいい。
使用するデバイスに関しては、チューニングを行うプロのアドバイスを聞いて、決めればいいと思う。
また、ショップごとに、得意なデバイスもあるようだ。
逆に、「デバイスありき」で、チューニングの依頼先を決めない方がいいと思う。
最近、調べてみて分かったことは、ハーレーの純正パーツである「スクリーミンイーグル PRO スーパーチューナー(廃番)」は、仮に在庫が残っていたとしても、2019年時点では、すでに使うメリットはないということだ。
最新のデバイスがあるのに、わざわざ、古くて高いデバイスを使うメリットはないというのが、その理由だ。
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